1996.12.7(土)
9:00頃、準備をする。サイモンの写真を撮るために……写真を3枚撮らせてもらった。今まで全く撮らせてもらえなかったのに、やっとOKが出た。
今日はピサへ行くつもりだった。だから急に「写真を撮っても良いよ」と言われた時は、正直「サイモン、もう写真はいいや」と思った。
俺にも俺の計画がある。けど、今まで撮らせてもらえず、ずっと断られていたので、俺の意地もあった。写真を嫌がるサイモン、絶対に自分のプライベートは撮らせてもらえない。絶対に。
同室に泊まるアメリカ人、サイモン(仮称)。ローマをベスパでかっ飛ばす彼はカトリック信者で、毎日バチカンへ足を運んでいる。サイモンのオーラは、カトリックの熱い信者としての誇りかもしれない。撮ってみると、すごかった。とっても格好良い。ポーズにも威厳がある。自分に自信がある。信念をしっかり持っている。それがファインダーを通して伝わってくる。

「I’LL SEND YOU THIS PICTURES. SO, PLEASE TELL ME YOUR ADDRESS.」
「No, I don’t have my address. I’m moving. Here! my house.」
なんだよ、俺には家がないって。サイモン!あんたは格好良いよ。でも、家がないっていうバックパッカーが格好良いのかどうかはわからない。こういうのがカルチャーショックっていうことなのか?どうなんだ、サイモン!
世界にはいろんな人がいるもんだ、と思った。で、括っちゃえ!
10時過ぎに宿を出る。
朝食 1,100リラ。
駅の時刻表と睨めっこ。
ピサへ行こうと思い列車に乗るが、とても人が多く、座れなかった。仕方なく、がら空きのナポリ行きの電車に乗った。けど、この電車もしばらくすると満席でぎゅうぎゅう……。
さて、どこに行こうか。電車に乗っていると日本を思い出した。名古屋から実家へ帰る時の電車プチ旅と似たワクワク、いや、何倍ものワクワクがここにはある。
座れたから、楽な分、いろんなことを考えることができる。電車を変えて正解!
イタリアの田舎は木が目立つ。しかし、森が見当たらない。ポツポツと木が立っている。山もある。しかし、森が見当たらない。山が森になっていない。だから、高い山でも(丘?)人が登っているのがはっきりと分かる。そんな裸の山ばかりだ。
駅でペンを買う。2,000リラ。これで午前の合計は3,100リラ。
ナポリへ行ってものんびりできなかったから、途中の知らない街で下車する。海が近い、というより港町だ。堤防に座り、地元の人に言わせると「上手くない」というチーズを食べながら街を眺める。
海と山に囲まれた街。海が近い。自分の故郷と似た空気がここにあるな、と思った。すごくのんびりできる。
イタリア初日は雨で、次の日は風が強くてとても寒かった。が、それから6日間はとても暖かな日が続いている。すごく天気が良い。

午後1時頃、この場所に到着。ふらっと歩きながら街を見る。「フォルミア」――それがこの土地の名前だ。
ドーナツ 1,000リラ。駅のリストランテでカプチーノとチョコレートで3,000リラ。甘い甘いチョコレートと、美味しいカプチーノ。最高である。

さあ、電車が来た。ローマへ帰るぞ。

「ローマへ帰ろう!」頭で思う。帰ろう!って格好良くないですか? 旅している最中に、帰る場所があるって、旅マスターみたいだ。むしろ、ローマで生活しているみたい。
さあ、俺も、マイホームへ帰ろう!


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