1996.12.12(木) その②
列車は海岸線を走っている。もう日が昇っているので景色が見える。綺麗な海岸線。サボテンにも、とても鮮やかな青色の花が咲いている。オフシーズンなのにこんなに綺麗な景色が見られるということは、オンシーズンに来たら……夏や春はもっと綺麗なんだろうな、と思う。

ずーっと、ずーっと海岸沿いを走っていく。
建物もローマやナポリ、ピサとは明らかに違う。何度も書くけれど、シチリア島はめちゃくちゃ綺麗なところだ。
天気が良ければの話かもしれないけれど、白い壁の赤みがかった土色に、冬でも生い茂った木々の緑。そしてなんといっても真っ青な海。綺麗すぎる。
旅人には関係ないけれど(申し訳ない話だけど)、昨日ローマで交通事故現場に遭遇した。なんてことを思い出しながら、のんびり、まったりと車窓を楽しんだ。
パレルモに着く。着いたはいいけれど……
最初は感動だった。パレルモ!列車から見たあの綺麗な街に降りたのだから。
2泊しようと思い、重いバックパックを背負って歩き出した。そして歩く。
「クワント・コスタ?」1軒目、1泊65,000リラ。少し高い。2軒目は空室なし。3軒目でとても安く30,000リラだった!安い。けど、カード利用不可能。
そしてまた、歩く。

ずーっと歩く。なんだかパレルモもローマやナポリみたいに、すごくごみごみした面もたくさん目にして、泊まるのをやめようかと思って、公園で休憩。パンを食べる。
列車から見えたあの綺麗で落ち着いたところで休憩したい。そんなところ、どこにあるんだろう。
なんだか悲しくなってしまう。すごく良いところなのにね、パレルモも。
途方に暮れる……つづく。

(※後日追記:)当事者には大変でしょうが、僕にはどうすることもできない話。何が僕の心のアンテナに引っかかったのだろう。
(雨の日のローマ、見知らぬ土地で起きた些細な交通事故の話)
昨日、目の前で事故があった。ローマはとても車が多く、道を渡る時、タイミングが難しい。信号はあってないようなものだ。見ていて、機能していないように見える。
そこにおばさんが歩いてきた。そして原付が、おばさんに突っ込んでいった。頬が血だらけになったおばさん。ちょうど事故が警察バイクの目の前で起こった。外は雨。すぐに現場検証。救急車も来て、狭い道路がすぐに大渋滞になった。原付には青年が乗っていたようで、雨の中、ずぶ濡れになりながら彼は立たされて、ずっと取り調べが続いていた。
―― 旅する読書人より 2026.7.24
列車の窓から見えたシチリアの海は、あまりに美しく、時間を忘れさせる。けれど、降り立った街は、期待とは少し違っていた。宿探しの疲れと、街の雑踏が、彼を少しだけ落ち込ませる。
その一方で、ふと頭をよぎるローマでの交通事故の記憶。美しい風景と、目の前で起きた痛ましい出来事が、彼の中で交錯する。旅は、そういうものなのかもしれない。
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