1996.12.12(木)シラクーサ その③
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昨夜ローマを夜行列車で出発。今朝 AM 5:28にシチリア島に到着。そのまま揺られてパレルモに到着。寝不足の中、宿を探したが、パレルモのホテルは高くて、街も賑やかで騒がしい。今夜をどうしたものかと思案中。
……パレルモを出ようかな、と駅へ向かう途中の日記。
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駅へ向かう途中。今日の昼と夜のための食料調達。果物、パン、コロッケで8,000リラ。今日は後は水だけで良さそう。とても安い。
コロッケは、ひき肉とグリーンピースをお米で包み、パン粉で揚げたもの。とっても美味しかった。久しぶりのお米を口にした喜びが大きい。
今日は一日中、この重たい荷物を背負って歩き回った。めちゃくちゃ疲れた。
「散々な旅だなあ」と、一人パレルモの無名な公園で思った。もうシチリアはいいから、シラクーサを諦めて、一気にトリノやミラノ、フィレンツェへ行こう!やっぱり素人は都会が楽だよ。
と思ったら……なんとまたストライキである。駅に着いたら、本土へ戻る電車がストップ。もう散々!イタリアはとてもストライキが多い。
p>このままだと、本当に帰りに空港へ行くのもストライキじゃないかと不安になってくる。結局、今日はシチリア島を出ることができないのだろうか。
日本でも同じ。電車が事故で止まった時の鉄則は、なるべく先へ行けるところまで行く。そこから先は、またその駅で考える。
今回も、悩みながらパレルモを午後3時50分に出た。動いているシチリア島内を走る列車で、本土への出口に少しでも近くへ行こう!
カターニャ行きに乗って、シラクーサへ行くか、シチリア島を出るか考えたい。

パレルモからカターニャへ向かう途中の景色はとても綺麗だ。一面に緑の丘が広がる。
綿密に生えた草がとても美しく、山や丘を覆っている。たまに見える木の白色や建物のクリーム色が、それらを一層飾り付けているようで、すごく気持ちの良い列車の旅だ。
英語を話す車掌が来て言う。
「Where do you go tonight?」
「I want to go to Siracusa.」
「This train is arrived Catania at 20:00. Change train, you need.」
どうしよう。シラクーサに行くか、イタリア本土に行くか……うーん、うーん。
着いたら考えよう!でも、夜8時かあ。
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シチリア人は、良い人が多いかもしれない。ホームでパンを食べていると、隣の家族がチーズとハンバーガーを勧めてくれた。だけど、自分はたくさんパンを持っているからって断ってしまった。後で、ああいう時は有り難くもらっておいた方が良かったな、と思った。
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世の中には、変なものを好きな人がいるんだな、と思ったこと。
この日記をパレルモの広場で書いていると、ロン毛にジーンズのイタリア人が、俺のところに寄ってくる。カラフルで安っぽいバッグを寄せてきて、「名前を書いてくれ」って。KEIJIって書いたら、日本語で書けっていう彼。
「けいじ」と丁寧に書いた。代わりに俺も写真を撮らせてもらった。こいつ、一丁前にポーズを取ってきた。イタリアの人って、おしゃれ意識が高いのか、写真を撮られ慣れしているのか、ポーズがいちいちかっこいい。

―― 旅する読書人より 2026.7.25
またストライキだ。イタリアでは、どうやらそれが特別なことではないらしい。
それでも彼は、電車を乗り継ぎ、景色を楽しみ、見知らぬ人と写真を撮り合う。予定が変わっても、その先で新しい出会いが待っていることを、彼はもう知っているのかもしれない。
車窓から見えるシチリアの緑は、そんな彼の背中を、そっと押しているようだった。


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