04.一日の始まりは、赤ワイン。旅の楽しみ方は未知数!IN ROMA

1996年イタリア一人旅

1996.12.3

朝8:30に起きる。ホテルから赤ワインの差し入れがあった。ボトルで。ホテルオーナーのワイン畑からの差し入れ。目覚めのワイン。なんか格好良い、イタリア。朝日で輝くワインを堪能する。他人と過ごす4人部屋の安宿で。

イタリア最高!

幸せな時間は束の間。現在の所持金は124,000リラ。どうやって残り20日以上を過ごしましょう。

今日は朝9:00のナポリ行きに乗るつもりだったけど、9:30までダラダラ過ごしてしまった。電車に乗る気力が薄れてしまい……。

で、結局歩いてスペイン広場へ来ている。

朝食は市場で、バナナ、リンゴ、オレンジを合計2,000リラで買い、日本から持ってきたカロリーメイトを半分食べる。スペイン坂での朝食。12月のローマは冷える。フリース1枚で足りると思った自分を責める。フリースにチノパン。この格好で北へ行ったら寒いよな……。コートは欲しいけど、お金がない。

散歩中は、贅沢なウィンドウショッピングを楽しめばいいのに、それにも余裕がない。お金がないよなあ。

朝食も食べ終わり、階段から様々な国の観光客をずっと眺めている。

今回の旅の目的は、いったい何だろう。今まで苦労せずに、高校、大学と進んできた。大学生活は、絶対に親には見せられないけれど、4年間、遊んできただけだ。

就職活動も、「自分を見つめ直す」と言っても、どう考えたら良いのかわからず、結局中途半端だった。そこで、有言実行な人間になりたくて、海外旅行を計画した……。

大学3年の終わりに、友人がインドなどへ海外旅行へ行くようになった。ちょうど猿岩石のバックパック旅行が話題になり、一人旅が流行っていた。「絶対楽しいから」と友達に勧められて……。

10月から2ヶ月、バイトをしまくって旅行代を貯めた。親にも援助をお願いした。

飛行機往復代 約15万円(28日オープンチケット)。イタリア国内レイルパス 約2万円。現金 約8万円。そして前日にフリースを買って、飛行機に飛び乗った。

で、イタリアへ来たけれど……初日にぼったくられ、今はその日暮らしの苦しい旅。11月30日、12月1日、2日、3日と、4日目だ。もう4日目で後悔している……。何が楽しいんだろう?

そして、これはおそらく一人旅をするみんなの“恒例”だと思う。

いったい、自分は何のために旅へ出たのだろう? そして、なぜイタリアじゃないといけなかったのか?

一応考えていたのは、「写真を撮りたい!」が一番。でも、それだけではなく、やっぱり「自分探し」でしょ。

今流行りの自分探し? ありきたりだよな。本当にこのままでいいのか。これから自分はどうやって進んでいくべきか。何を考えてやっていくべきか。それを再確認するまで、帰ってはダメだ。

しっかり者になりたい。大人にならなければならない。

……なんて、自分では大したことを考えたと思っているけど、それは安直な満足感にすぎない。

そして夕食は、贅沢にマクドナルドのビックマックセット、9,900リラ。全然節制できていない。

現在、日本円は残り37,000円(約488,400リラ)。残り18日を、27,000リラ/日の計算。

厳しいな。でも、マックのグルタミン酸ナトリウムが懐かしくて。「うまーい!」と体が反応しちゃう。いやー、我慢できない。高いけど、手を出してしまう味。


―― 旅する読書人より 2026.7.24

ホテルオーナーからの赤ワインの差し入れ。それは、旅の始まりにふさわしい、特別な一幕だった。

けれど、そのすぐ後には、お金の計算と「何のために来たのか」という自問が待っている。朝の高揚感は、現実によってあっという間に引き戻される。その落差が、この旅の本当の始まりだったのかもしれない。

「自分探し」という言葉に甘えて、ただ旅に出ただけなのか。それとも、この先に何かを見つけられるのか。彼自身も、まだ答えを出せずにいる。


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