1996.12.23(月)
7:45に目が覚める。昨夜のNさんとの話が頭から離れず、寝られなかった。面白い話ばかりだった。
僕が「そろそろローマに帰ってくるかもしれない。パパ・ジョルマーノホテルに泊まりにくるかもしれない」と言っていたらしい。嬉しい。最初のローマで会った高校生が、いろいろと僕のことを話してくれていたみたいだ。
p>あの爽やかな高校生が。僕も彼の話を行く先々でしていたから、同じように、お互いに「聞いてるよ、君のこと」って話になっているかもしれない。バックパッカーは、こうやって昔から旅を楽しんでいたんだろうな。さて、今日はどうしよう。サン・ピエトロへ行き、帰りはそろそろ自分へのお土産を買おうかな。
そういえば朗報!26日の最終日は、Nさんも日本に帰るということで、空港まで一緒に帰れそうだ。よかった。このまま4泊、パパ・ジョルマーノに泊まろう。
最高!パパ!
隣のアメリカ人2人が朝シャンに行った。廊下ですごく盛り上がっている!お茶目な二人。俺もシャワーを浴びたいから、早く代わってくれー。
(8:15、部屋にて)
今日はサン・ピエトロ行きをやめて、Nさんとローマを楽しもう! Nさんのローマ旅に同行させてもらった。初めて、まともなレストランに入った。Nさんお任せで、初めてのコース料理。
サラミの盛り合わせ、ラザーニャ、とんかつ、ワイン。一人当たり30,000リラ(およそ2,800円)。豪華な昼食。このイタリア旅行で、本当に思い描いていたランチ。旅。
ご馳走になった、ありがとう。大人のローマの楽しみ方を教わった時間。
「事を始める時、動機が不純であればあるほど、本来は純なもの」――創作を生業にすることの大変さや、好きを追求した人同士が集まるアーティスト同士の話。聞いているだけで、早く日本に帰って勉強したいと思った。

午後、パンテオンへ行く。前回一度行ったことがある教会。中へ入るのは初めてだった。中はドーム状で、天井がぽっかり空いている。天井から空が見える教会。雨の日にここへ来ると、一粒一粒の雨が光り、それは綺麗だという。
でも、お昼からワインをたくさん飲んだから、ふらふら。イタリア最高!
(16:04、ホテルにて)


酔ったまま、テルミニ駅のスーパーへ。ジュースを買って、サンタ・マリア教会へ。絵を描きに来た。でも手が震えて書けない。
酔いさましに、ジェラートやコーラを飲むが効かない。本屋でだらっと。ベンチでだらっと。ローマに集まってくるおしゃれな人、綺麗な人、格好良い人、あれ?と思う人――ベンチでじっと色んな人を眺めながら時間を過ごす。
(18:07、共和国広場近くのベンチにて)
19時頃、ホテルへ戻る。お昼のお酒がやっと抜けてきた。ワインをデキャンタで飲むのは、ちょっと自分には多かったんだろうな、と反省。
やっぱり都会に来ると街中が忙しい。自分もつられて忙しく、日記を書く時間がない。良いことだと思うんだけど……
今日でローマには10日もいるはずなのに、まだまだ新しい発見があった。まだまだこの町には魅力が詰まっているようだ。食事、教会、町散歩。どれも楽しい。いつも新鮮。
また、Nさんもすごい!彼の人脈ネットワークの広さ(というか、すごい人とつながっている)。話を聞いていると、そういう知り合いをたくさん持つのは大事なことで、役に立つんだろうなと思えてくる。「なんでそんな人と友達になれるの?」の連続。
僕はこの旅を通して、いろんな人と出会えた。何度も書くけど、この旅で知り合った人はすごい人ばかりだった。特にローマに留まる人は、アートに関心が強い人が多いなと思った。その中でも、パパ・ジョルマーノに来る人は――パパが好きな人の中に悪い人はいない!断言します。
社会人になっても、休みをとってまたイタリアへ来たい。ローマへ来たい。今回行けていない郊外を回りたい。他の国も良いけど、同じ国に何度も行くって贅沢だよな、と思った。
(19:42、ホテルにて)
シャワーを浴びて、まだ一人なので鏡に自分を映す。髭ボーボーの自分。左右非対称の髭。似合わんなあ。伸ばしたらかっこよくなるかもって期待したけど、ダメみたい。むしろ、髭を剃りたい!
ただ、髭って触るのは気持ちいいよな、とじょりじょり触る。今後、こんなに髭を伸ばすことはないだろうな。
夜、Nさんと街へ出た。ワインを飲みに。1軒目:ワイン、ビール、スパークリングワイン、卵で13,000リラ。2軒目:ピッツェリアでスパゲティ、サラダ、アンティパスト、コーラ、ビールで15,000リラ。めちゃくちゃ安い。地元の人で賑わうお店だった。
それからホテルへ。えー!ルームメイトはカップルでびっくり。
そこからまたNさんと写真の話で盛り上がる。僕の撮った写真を見てもらったり……「写真を紹介するから東京においでよ」とか、浮かれてしまうような話ばかり。
「道はたくさんある。その中で自分の生きたい道を勝ち取るのが、そうなるように努力することが、大切。」芸術家はみんな貧乏。それでも展示会を開くと200人以上が足を運んでくれる。それだけで、僕のなんちゃらリンは一気に分泌され、次も頑張ろうって気持ちになる。
「歌手とかはもっと気持ちいいんだろうな」と彼は言う。
この人に認めてもらう写真を撮りたい――そう思った。
今日だけで、今回の旅行の凝縮メインとなるような経験をした気分。昼から飲んで、お店の楽しみ方も教えてもらった。
(23:27、ホテルにて)
―― 旅する読書人より 2026.7.25
「この人に認めてもらう写真を撮りたい」――そう思った瞬間、彼の旅はまた一つ、新しい方向へ動き出した。
Nさんという彫刻家との一日は、彼にとって「凝縮メイン」のような経験だった。昼間からワインを飲み、本場のレストランで食べ、夜は地元のバールへ。そのすべてが、彼の目には新しい世界として映っていた。
「芸術家はみんな貧乏。それでも展示会を開くと200人以上が来る」――その言葉が、彼の「なんちゃらリン」を分泌させたのだろう。


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