1996.12.4
AM 7:30起床。ルームメイトの二人が出かける準備を始めている。さあ、俺も!今日こそは列車に乗ろう。
朝食はいつもの市場で、バナナ3本、キウイ1個、リンゴ、オレンジを買って2,100リラ。カロリーメイトを持ってテルミニ駅へ。
レイルパスの使い方に戸惑ったけど、インフォメーションでスタンプを押してもらい、ナポリ行きに乗った。午前9時15分、ローマ発。午前11時25分、ナポリ着予定。
イタリアの電車は、アナウンスがなかった。どこどこに着いたよ、という案内がない。
みんなどうやって到着駅を確認するんだろう?2時間後の感覚がわからず、落ち着けない。景色を楽しもうと、じっと車窓を眺めているけど、やっぱり降りる場所がわかるか心配で何にも集中できない。午前11時10分頃、出る準備をして、止まったところで降りた。そこがナポリだと確信を得るまで、少し時間がかかった。なんとか無事にナポリに着けた。本当は、リアルな「世界の車窓から」を楽しみたかった。残念。
しかも乗ってきた電車は、ドアの開閉が手動だった。なんで自動じゃないの?しっかりスピードの出るちゃんとした車両なのに。ど田舎のローカル線でもないのに、手動。手動だから、いつでも、どこでも降りることができる。
考えようによっては危ない。けど、それがそのまま改善されていないということは、イタリア人はしっかりしているんだろうな、と思った。日本が過剰サービスなのか……。
子供もしっかり親が躾け、見守り、危なそうなところも利用者の責任のもとに成り立っている。
日本人は、しっかりしていない。規制ばかりしてルールばかり増えたため、便利で安全になっているけど……それが故に、利用者である日本人は、ルールや安全な社会・機能に頼りきってしまい、安全・平和ボケという悪循環の世界が積み重なってしまっているんじゃないか。
ナポリの駅を出ると、パッと広がる海景色に、「今日来てよかった!」と思った。思い付きの行動力を自分で褒めた。散歩に最適な街にやってきた。
ナポリは、大通りに出ると遠くに海が見える。真っ直ぐでなだらかな長い道を降りていく先に、港が見える。大きな船も見える。海だ!
海を目指して歩いた。久しぶりの海(途中、ピッツァ 1,500リラ)。
散歩は、歩いている時が一番楽しい。到着した海は日本とあまり変わらなかった。周りの建物が違うから、かろうじて外国、ナポリの港だと思うくらい。帰りにピッツァをもう一枚食べる。ピッツァ 2,000リラ。
手軽に買えるからか、店先で売っているピザをよく買ってしまう。大きくてうまい。ただ、日本では露天のたこ焼き屋さんみたいな感じなのかな?
現地の人にとって、こういうピザはピザなんだろうか?4日で10枚くらい食べたけど、私はまだピザを語る資格はない。そもそも本物のピザに出会っていないと思う。本物のピザがあるとしたら、果たしてその本物のピザにお目にかかれるのだろうか?せっかくイタリアに来たんだから、ピザとパスタは美味しい本物を食べたい……けど。そんな機会あるのかな。
イタリアで街を歩いていると、とっても気になることがある。特にナポリで歩いた時、強く思った。
イタリア人は、男女ともに目つきが鋭い。皺も多い。シワが鋭い、特に眉間に。
なんでこんな顔なんだろうと思っていたけど、今日、答えが見つかった。
イタリアは、日差しが強いからだ。いつも眩しい。どうしても、いつも眩しいのだろう?
太陽が低いんじゃないかと思った。日本では眩しいのは朝と夕方だけ。けどイタリアは、太陽の動きがいつも低い位置にあって、外へ出ている間はずっと太陽が目の前に見える。
だから眩しい。そう、やたら眩しいのである。
だから目を凝らす……自然と眉間に力が入り、皺が深くなり、目つきが鋭くなるのでは?
ドミトリーで出会った外国人(アメリカ人など)は、みんな皺が少ない。というより、目つきが優しい。
最初は、イタリア人はみんな“格好つけマン”だと思っていた。目つきを鋭くして、隙のない自分を演出しているんだと思っていた。
● イタリアで欲しいもの
自分用:靴、コート、時計、本(星の王子様)、メガネ、ネクタイ
プレゼント用:靴、アクセサリー(ベルト)、時計
両親へ:ワイン、コーヒー、ネクタイ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナポリは、駅から少し歩くと海に着いた。駅から海へ、なだらかな坂をずっと降りていく。映画や海外ドラマで私がイメージするような、絵になる海への真っ直ぐな道、街並み。ヌオーヴォ城が見える堤防で絵を描く。靴の写真を撮る。この旅のともとして履いてきたスニーカー。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナポリから電車で帰ってきたら、日本人姉妹と意気投合し、食事することになった。ピッツェリアの前で、挙動不審でお金がなさそうな一人の日本人を、旅慣れた姉妹が見かねて一緒に食事してくれた。というのが、ざっくりとした経緯である。

とても良く喋る姉と、寡黙そうで実はよく喋る妹。お金がなくて困っているこれまでの話をしたら同情してくれて、彼女らとの食事は、俺がカードで支払い、彼女たちの分を現金で渡してくれるという、とても幸せなことをしてくれる人たちだった。聞けば、色々な所へ行ったことがあり、今回は二人とも仕事を辞めて、ギリシャからポンペイ、そしてローマへと旅をしているという。
姉の方はローマは4回目。二人とも芸術系の美大卒。海外旅行を通じて視野がグンと広がったといい、旅をして思ったことは「いつも笑っていることが大切」だという。あとは、仕事は割り切ることが大切。笑っていることで幸せを掴み、幸せになる。笑っている世界にいたいがために、そのように自分を費やす。そうしていくことが彼女たち自身の生き方だという。
すごく幼く見えたけど、28歳と25歳。色々なことを感じて、自分よりも人生を知っているように感じた。この出会いで、懐も少し温まり、心も温まり、レストランの利用の仕方や、バールの入り方、楽しみ方がわかった。たくさんの旅の知恵をいただいた。Thank you!

―― 旅する読書人より 2026.7.24
イタリア人の目つきが鋭いのは、日差しのせいかもしれない、っていう考察。正しいかどうかはわからないけど、なんかわかる気がする。
それにしても、日本人姉妹の「笑っていることが大切」っていう言葉。旅先で出会った人から、こういうシンプルなことを言われると、妙に心に残るんだよな。


コメント