1996.12.5(木)
今日は7:30に起きて用意する。9:30に昨日の彼女たちと待ち合わせをしているからだ。ローマ巡りに付き合う形。というのは方便で、旅の大先輩にいろいろ海外旅行の楽しみ方を教わる時間。
朝食はバナナ3本とオレンジで1,400リラ。それだけにしようかと思ったけど、まだ30分時間があったのでバールへ寄る。昨日、入り方を教わった。
「カプチーノ!ウノ!」そう言って、食べたい軽食に指を指す。料金とチップを渡して、カウンターでその日一番の格好つけ顔で、チビチビピザを食べ、スマートにカプチーノを飲む。現地の人は、さっと食べて、さらっと会話を楽しんで、軽めに済ませて1日の始まりをリセットしているんだと思う。
そこは、一人旅の醍醐味なのか、不器用なのか、無精なのか……のんびり、カッコつけ時間をじっくり噛み締めよう。
今朝は、カプチーノとピッツァで、ビジターとしてバールの空気感を汚さないように気をつける。ピザパンとカプチーノ、たったこれだけでハードボイルドな自分が出来上がる。豪華な空間。料金は5,000リラ。チップ100リラと合わせて500円弱かな。

外は寒い。バールではハードボイルドな私も、お店を出て数分もすれば、コテコテの日本人に早変わり。大きく開いた態度と胸はどこへやら。
さて、ローマ巡りスタート!
ヴァチカンへ来た。全てのカトリック信者が人生で一度は訪れたいというところらしい。サン・ピエトロ寺院は、当時最高の建築家を集めて作らせた、最新で最高の建造物。二次元、平面ではなく三次元、立体的に見る者を楽しませてくれる、とても華やかな空間だった。
門衛兵はスイス人を雇い、スイス中の全ての格好良い男性、イケメンをスカウトしてくるらしい。そのユニフォームはミケランジェロがデザインしたもの。『ローマの休日』や他のドラマであるように、門衛兵は本当に表情を変えない、プロフェッショナルなイケメンだった。
その後、トラステヴェレへ行き、スーパーでチーズを買って教会へ。サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会の中へ入る。大理石のモザイク模様は見物客で溢れていた。

ローマの街自体が、いかに視覚的に豪華に見せることができるか。色々と考えて創られた街だということを教えてもらい、そう肌で感じることができた。
ミケランジェロが全て一人で創造したというカンピドーリオの丘。やはり全てのエンターテイメント的な建物はどこからでも見えるように、道も一直線で広げてあり、歩いていて飽きない。パン屋の中も撮影させてもらえた(カンポ・ディ・フィオーリの市場で)。
夜は一緒にピッツェリアへ。本場のピッツァが、カットされたものではなくホールで届いた。フォークとナイフでおしゃれに頬張る。俺自身は、日本のピザのほうが……好きかも。あと、水を頼むと(初めての)ガス入りウォーターが出てきた。これも慣れない。
彼女たちとは、一緒に晩御飯を食べてお別れとなった。ちょっと、旅って楽しいかも、って思えた。とっても感謝している。色々なこと、情報、知識をくれてありがとう。
現在の所持金は150,000リラ。そして37,000円。残り20日あるから、1日あたり30,000リラかな。足りるかな……。
―― 旅する読書人より 2026.7.24
「カプチーノ!ウノ!」——この一言で、もうイタリアに馴染もうとしているのが伝わってくる。できるかどうかはさておき、その真剣な様子が、どこか微笑ましい。
サン・ピエトロ寺院に圧倒され、本場のピッツァに感動し、その日の終わりに「旅って楽しいかも」と漏らす。たった一日で、彼は少しだけ、旅人らしくなった気がする。


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