45.今なら変えられる!あなた自身の未来を。その鍵を握るのはあなた自身。

言い切っていい。僕はこれから2日間、人生でこれほどにビビッときたことはない。残念ながら、このビビッときた数日間を正しく伝えられるほどの文章力を持ち合わせていない。

逆に聞きます。

皆さんは、これまでビビッと来た出会い、瞬間ってありますか?おそらくたくさんあるでしょう。

でも、とっさに聞かれた今、すぐに「あれだ!」とあなたの人生のビビッと瞬間を答えることができますか?

僕は、いつでも答えることができる。

大人になってこれまで出会ったたくさんのあらゆる本よりも、このたった一人との出会いが、何よりも僕の生き方バイブルとなった。

本からでも、何からでもいい。言葉でもいい、ビビッとくれば。僕のビビッとは、そう、この人との出会いでした。


ただ、20年以上経った今だからわかる。いくらビビッと来た体験をたくさんしても、その思いを自分の中でしっかり正しく育てることができなければ、それは映画を見たり漫画を見たり、その都度心を震わせる瞬間を味わったのと同じになってしまう。

悪いことじゃない。それ一つ一つは大事なこと。でも、ビビッと来ただけじゃ、何も変わらない。


いろいろ書いたけど、最後に一つだけ。

今のあなた――僕は、過去の自分が見たら、楽しそうだなって毎日を過ごせていますか?

大げさだけど、書かせてください。

今なら変えられる。変えられるのは君自身しかいない。

未来を変えることができるのは、今の君だけ、僕だけなのだから。

(2021年、『東京リベンジャーズ』読後、一緒にワクワクできた息子に捧ぐ)


1996.12.22(日)その③

海外の4人部屋、ドミトリーで、夜一人というのは結構虚しいもので、日記を書くのも進まなくなり、寝てしまおうと思う。

できれば、一人で寝ているところを、これから帰ってくる他の宿泊者に見られたくないな、と思ってしまう。

……と思いながら寝てしまっていた。

なにやら物音がする。目を開けると、ぞろぞろとルームメイトが帰ってきているところだった。アメリカ人2人、そしてNさん。

起きた僕に、Nさんはビールを渡してくれる。歳は僕より20くらい上だろうか。北海道出身の彫刻家で、関西で個展も開催しているという話を気さくに話してくれる、Nさん。

ダンディー決め決めでもない、等身大の自分を格好良く振る舞っているお兄さん……おじさん?

僕が帰ってくる前の人はどんな人だったとか、今一緒にいるアメリカ人2人も良いやつだとか。「PAPAは、そういう良い人が泊まりに来るところだな」と思う、と。

創作で生計を立てている人。創作彫刻家。決して格好つけではないNさん。僕は彼の話にどんどん引き込まれていく。

まとまったお金ができたら海外へ気ままに一人旅をしている。だから話の引き出しが豊富で、何よりもカメラを持ってローマへ飛び出した僕にとって、目の前に芸術家がいる――という、興奮してしまう状態だったのだ。

Nさんは、「人生でやりたいことがあるなら、とことん向き合うべきだ。その世界にどっぷり自分を染み込ませるのが大事だよ」と言ってくれる。その落ち着いた真っすぐな言葉の一つ一つが、寝起きで少しお酒の入った僕の体に、いちいち突き刺さる。

なんとなくサラリーマン人生を思い描いていた自分。趣味で写真とかかじったり……。好きなことのために、お金を稼げばいいじゃん派の僕は、そのNさんの言葉が、いちいち強めに心に刺さる。

そんな僕の身体を突き刺してくる言葉は、好きな小説家から届く話じゃない。生の声で、直接、目の前で言われてしまう。

僕はもう、テンション上がりまくりだった。これだよ、一人旅の醍醐味ってこういうことなんじゃないですか。 残りローマ3日となった最終コーナーで、ビビッとくる出会いに遭遇。

(深夜2:35、ホテルにて)


―― 旅する読書人より 2026.7.25

「ビビッと来ただけじゃ、何も変わらない」――その言葉は、彼自身への戒めであり、読者へのメッセージでもある。

Nさんという彫刻家との出会いは、彼にとって「生き方バイブル」になった。けれど、それだけでは終わらせない。その思いをどう育てるか。それが、20年後の彼を動かしている。


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