1996.12.24(火)その①
今朝は部屋のみんなが起きる気配がなかったので、自分も起きず、9時過ぎまでゴロゴロしていた。
「今日も部屋移動してね」とPAPAのオーナーに言われた。荷物をまとめて預けた。Nさんと二人でバールへ。カプチーノとコルネットで1,900リラ。ローマ・テルミニ駅周辺は北側がおすすめ。
スペイン広場へ向かおうとしたけど、雨が降ってきたのでマックへ避難。
(11:32、マックにて)
マックでNさんと別れた。僕はスペイン広場周辺でショッピング、土産を買おうと思った。
それにしても、日本人が多い!団体さん。
スペイン広場で座っていた。日本人もたくさん来る。面白いもので、日本人は日本人を避けて座る。僕の周りはガラガラ。ミサンガ売りも来ない。
もう帰ろうとナツィオナーレ方面へ歩き出した時、見覚えのある顔がこちらを見てくる。
あ!
フィレンツェのドゥオーモで会った韓国人姉妹。異国で、旅で知り合った人と再び会うって……これもバックパッカー旅の醍醐味? 今日はローマ観光で、これからスペイン広場へ遊びに行くんだ!って。
こんな偶然は大事にしたい。だから何とか明日一緒に飲めないか誘おうと思った……が、言葉が通じない。ダメだった!残念。こんなに英語ができないことを悔やんだ瞬間はないよ。っていうか、「わからない」って言って、彼女はやんわり断ったんだ。そう、たぶんそう。
そういう風に、俺!頑張れって、凹まないように言い訳を考えた。
けど、ダメだー。雨が降ってきた。強めの雨。凹んだ心はすぐには回復しない。雨足がだんだん強くなってくる。いったん退却!ホテルへ逃げ戻ろう!
(15:34、スペイン広場にて)

ホテルに戻ってきた。ベッドの上に、スプマンテとケーキが置いてあった。PAPAのオーナーからのクリスマスプレゼント。
Nさんはホテルにいなかった。
Nさんとのこの数日のたくさんの会話――今、Nさんは東京でいろんな人に囲まれながら、刺激のある毎日を過ごしているということだった。
俺も関東へ、東京へ行きたいなと思った。情報も、人も東京には集まっている。いやいや、東京に行かなくても、名古屋で今住んでいるところで、やりたいことは実現できる。そうじゃないと、世の中おかしい。
Nさんが帰ってきた。一緒にご飯を食べに行く。テルミニ駅西側のトラットリアへ。「智子の店(Tomoko Tudini)」の隣へ入る。最初は日本語メニューが出てくる。Nさんが言う。日本語メニューはサービス料も15%に、値段も倍くらいするから高すぎるらしい。イタリア語メニューを求めるが、無視された。「ノー・グラッチェ」と断り、お店を出た。
次に入ったお店。アンティパスタ(魚介類とサラダの盛り合わせ)、カルボナーラ、パスタ(Nさん)、鳥(Pollo。皮パリパリで肉ジューシー)、トマトサラダ、ワイン。合計7,500リラ。
お腹いっぱい。うまい。イタリアではクリスマスにはケーキ以外にパネトーネというパンを食べる習慣があるらしい。隣のテーブルでは、このパネトーネを食べている。そっか、ベッドに置いてあったのはパネトーネだったんだ。
今夜はクリスマス・イブ。パンテオンで23:30からミサがあるらしい(天井が空いた教会でミサ)。ぜひ行きましょう、と外へ出たけど、土砂降りの雨。パンテオン行きは断念。
急遽、テルミニ駅近くの教会へ。
p>24時10分前。どんどん人が増えてくる。中では、パイプオルガンで静かに、じっくりと曲が流れてくる。24時に向かって人が集まってくる。雨の中、イタリアのナターレに向かって、子供から大人まで、教会に人が集まり、お祈りが始まる。そこらじゅうの家族で、親が子供に話をしている。子供たちは真剣に話に耳を傾けている。キリストの言い伝えを、親から子へとつなげているのだろうか。
そういった家族に囲まれながら過ごすイタリアのナターレ。何もしていないのに、良いことをしたような気分になる。


帰りにバールへ寄った。真夜中のカプチーノ。
24時を回っても、お店は賑わっていた。静かに賑わっていた。ナターレを、それぞれが自分たちなりの時間を楽しんでいるようだ。そんな大事な時間、空間に、僕らもご一緒させていただく。
イタリアの人は、バールを中心に、自分たちの生き方、スタイルを大事にしながら、背伸びするでもなく、楽しんでいる。ただただ……格好良い。
帰ってからは白ワイン。今日も一日中じっくり楽しめた。そろそろ寝ます。
(2:24、ホテルにて)

―― 旅する読書人より 2026.7.25
クリスマス・イブのローマ。彼は教会でミサに参加し、真夜中のバールでカプチーノを飲んだ。
「イタリアの人は、バールを中心に、自分たちの生き方、スタイルを大事にしながら、背伸びするでもなく、楽しんでいる」――その観察は、彼がローマという街の“空気”を確かに掴んだ証拠だ。
何もしていないのに良い気分になる。そういう夜が、旅にはある。


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