38.帰国後、笠井誠一(画家)さんとの勝手な出会い

1996年イタリア一人旅

25年前、イタリアでもバックパッカーの間では、ヴェネツィアは「ハズレなしの満足度100%の街」だった。

そんなヴェネツィアは、僕にとっても例外ではない。

帰国後、落ち着いたころ、僕はとある画廊に吸い込まれるように足を踏み入れた。ある画家さんの色や線に魅力を感じたから。

偶然入ったその場所で、僕は一人の画家さんのバイブスに、自分の胸の高鳴りを抑えることができなかった。

僕がヴェネツィアで撮った気に入っている写真と、全く同じ構図の絵を、その方も描いていたのだ。

時を超えて、同じ景色に何かを感じ、足を止めた人がいた。そして、記憶に留めようと行動していた人がいた。

そこに感動し、喜び、そしてその人からも、自信を少しもらえたような気がした。

間違っていなかった。僕は、その景色に感動してよかったのだ。


1996.12.19(木)

教会の鐘で目が覚めた。朝8:00。この旅で一番の格好良い目覚めだなあ。一人旅も余裕が出てきているな、と落ち着いた自分に気づく。

改めて部屋を見回すと、狭い部屋だなあ。隣で掃除機の音が聞こえる。ベッドメイキングが始まっているんだろう……。自分のバッグとベッドと机で、部屋は満杯。窮屈な部屋で、おしゃれな朝からすぐに現実に引き戻される。

さあ、ヴェネツィアを歩こう!

(午前8時50分)

笠井誠一さんと私を結び付けた一枚

ホテルを出た。しばらく歩く、歩く、そして歩く。たくさんの橋を渡り、たくさんの角を曲がる。バールで朝食を!とも我慢して歩く。

そして、やっときれいな建物に着いた!

……と思ったら、出発したホテルの隣、ヴェネツィアの駅だった。

たくさん歩いた先がスタート地点だったことがショックで、パブに寄る。

そういえば、どこに行こうかはっきり決めていなかった。サン・マルコ寺院に着ければいいや、と思っていたら、地図を見て、もう一度場所を確認すると、逆に行かないといけなかった。

「Beer! ピッカロ(小)! 3,500リラ。」

昼間から飲んじゃった!極小サイズだけど。

ほろ酔いでもう一度街を歩く。気分が良い。気持ちの良い散策!ヴェネツィアの道は狭く、曲がり角が多い。楽しい。けど、方向感覚が鈍り、不安にもなる。

でも、賑やかで、こじんまりとしていて、歩いていて楽しい!


―― 旅する読書人より 2026.7.25

ヴェネツィアで撮った一枚の写真。その構図とまったく同じ絵を、帰国後に画廊で見つけた――その偶然は、彼にとって「間違っていなかった」という確信になったのだろう。

時を超えて、同じ景色に心を動かされた人がいた。その事実が、「自分が感じた感動は正しかった」という、その確信をより強くしていく。


■この旅の始まりはこちらから

00.viva! Italy! リーラ!
1995年5月25日。野茂英雄が日本人メジャーデビューを果たした、歴史的な日だった。その1年後、僕は初の海外旅行デビューという、個人的な快挙を果たす。無計画で失敗の連続。初めてだらけの海外一人旅。時代はEU統合前。もちろんユーロなんて存在し

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