25年前、イタリアでもバックパッカーの間では、ヴェネツィアは「ハズレなしの満足度100%の街」だった。
そんなヴェネツィアは、僕にとっても例外ではない。
帰国後、落ち着いたころ、僕はとある画廊に吸い込まれるように足を踏み入れた。ある画家さんの色や線に魅力を感じたから。
偶然入ったその場所で、僕は一人の画家さんのバイブスに、自分の胸の高鳴りを抑えることができなかった。
僕がヴェネツィアで撮った気に入っている写真と、全く同じ構図の絵を、その方も描いていたのだ。
時を超えて、同じ景色に何かを感じ、足を止めた人がいた。そして、記憶に留めようと行動していた人がいた。
そこに感動し、喜び、そしてその人からも、自信を少しもらえたような気がした。
間違っていなかった。僕は、その景色に感動してよかったのだ。
1996.12.19(木)
教会の鐘で目が覚めた。朝8:00。この旅で一番の格好良い目覚めだなあ。一人旅も余裕が出てきているな、と落ち着いた自分に気づく。
改めて部屋を見回すと、狭い部屋だなあ。隣で掃除機の音が聞こえる。ベッドメイキングが始まっているんだろう……。自分のバッグとベッドと机で、部屋は満杯。窮屈な部屋で、おしゃれな朝からすぐに現実に引き戻される。
さあ、ヴェネツィアを歩こう!
(午前8時50分)

ホテルを出た。しばらく歩く、歩く、そして歩く。たくさんの橋を渡り、たくさんの角を曲がる。バールで朝食を!とも我慢して歩く。
そして、やっときれいな建物に着いた!
……と思ったら、出発したホテルの隣、ヴェネツィアの駅だった。
たくさん歩いた先がスタート地点だったことがショックで、パブに寄る。
そういえば、どこに行こうかはっきり決めていなかった。サン・マルコ寺院に着ければいいや、と思っていたら、地図を見て、もう一度場所を確認すると、逆に行かないといけなかった。
「Beer! ピッカロ(小)! 3,500リラ。」
昼間から飲んじゃった!極小サイズだけど。
ほろ酔いでもう一度街を歩く。気分が良い。気持ちの良い散策!ヴェネツィアの道は狭く、曲がり角が多い。楽しい。けど、方向感覚が鈍り、不安にもなる。
でも、賑やかで、こじんまりとしていて、歩いていて楽しい!

―― 旅する読書人より 2026.7.25
ヴェネツィアで撮った一枚の写真。その構図とまったく同じ絵を、帰国後に画廊で見つけた――その偶然は、彼にとって「間違っていなかった」という確信になったのだろう。
時を超えて、同じ景色に心を動かされた人がいた。その事実が、「自分が感じた感動は正しかった」という、その確信をより強くしていく。
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